幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 どこかで親とはぐれたか捨てられたかしたのだろうか。
だが、どうにかして餌はちゃんととっていたようだ。長い間放浪していたように見えるが、痩せているわけではない。
 リーゼには一瞬で懐いたようで、鼻先でリーゼの手を押してみたり、舐めてみたり。忙(せわ)しなく足にじゃれついたかと思ったら、コロンと転がってお腹を見せる。

「この子、連れていきたいな」
「犬なんか連れていけるわけない」

 リーゼが犬を抱き上げようとすると、リリンダは止めた。

「いいんじゃないか? リーゼ嬢ちゃんを守る番犬に――ならねぇか、こんなに人なれしてちゃ」

 助け舟を出してくれるつもりだったらしいサージは、子犬を見て苦笑した。
 サージを見てもまったく警戒せず、ちぎれんばかりに尾を振っているようでは、間違いなく番犬にはならないだろう。

「連れていきたい。リーゼ、大事にするから!」

 父に捨てられたリーゼと、親に捨てられたかもしれない子犬。この子犬に自分の姿を重ねてしまったのはどうかしているかもしれない。でも、放ってはおけなかった。

「うん、まあいいんじゃないか? リリンダ、俺達の雇い主はリーゼ嬢ちゃん――の母上だ。雇い主の望みはできる限り応えてやらないと」
「わかった、団長」

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