幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 一瞬だけ不満そうな顔になったリリンダだが、サージには逆らわない。
 その日の宿にはサージが交渉してくれて、宿の脇で犬を綺麗に洗ってからならリーゼの部屋まで連れて行ってもいいことになった。

「もう、なんで私が!」
「リーゼ、洗うよ?」

 宿の脇にある井戸のところで、リリンダは文句を言いながらも子犬を綺麗に洗ってくれた。子犬は濡れるのも嫌がらず、おとなしくその場に立っている。
 石鹸を泡立てても、暴れることはなかった。全身を綺麗に洗い、石鹸の泡を完全に落としたところで、子犬はブルブルっと全身を震わせる。
 冷たい水が顔にかかり、リーゼはきゃあきゃあと笑い声を上げた。リーゼの服までびしょびしょだ。

「リーゼまで濡れてちゃ意味ない。タオル! タオル!」

 リリンダは慌てて手を伸ばし、タオルを取ってリーゼの肩にかける。もう一枚のタオルで、リーゼは子犬をごしごしとこすった。

(絶対に、この子を大切にするんだ)

 このひと月の間旅をしてきて、リーゼは改めてこれからどう生きていくかを考えることになった。
 公爵には必要とされなかったが、領主となったデリモでは必要とされる存在になりたい。
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