幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 ベイティス傭兵団の皆と離れるのは寂しいけれど、この子犬が一緒にいてくれるのならひとりでも寂しくない。

「……洗ったら、こんなに綺麗になるとは思ってなかった」

 洗い終わった子犬を見て、リリンダはしみじみと言った。
 薄汚れていたから、灰色と黒が混ざったような毛並みだと思っていたけれど、汚れを落としたら銀の毛並みが美しかった。
 吸い込まれそうな青い瞳で、子犬はリーゼを真正面から見つめる。抱き上げると、リーゼの頬を舐め、元気よく鳴いた。

「……いい子」

 風魔術のスキルを持つ傭兵のひとりに風を吹かせてもらい、子犬の毛を乾かしてもらう。艶々ふわふわとした毛並みは、洗い立てということもあって石鹸の香りがした。

「ワン!」

 もう一声鳴き、子犬はリーゼの腕の中から抜け出した。

「おお、ずいぶん綺麗になったな。リリンダ、手間をかけた」
「大丈夫、問題ない」

 サージが声をかけたら、リリンダはぴしりと直立して返す。
 サージの方は、娘を見るような目でリリンダを見て、彼女の頭をぽんぽんと叩いた。
 とたん、ボンッと音を立てそうな勢いで、リリンダの顔が真っ赤になる。

(これってワルイ男というやつでは……!)

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