幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 リリンダの気持ちをサージが知っているかどうかはわからない。だが、リリンダはそうやって頭を撫でられる度に、サージへの想いを募らせているのだろう。
 宿の人に柔らかく煮た鶏肉を分けてもらい、子犬に与える。お腹いっぱい食べ、満足した様子で子犬はリーゼの部屋で丸くなったのだった。
 

 夕方にはデリモに到着したいそうで、翌日は早朝の出発だった。眠い目をこすりながらリーゼは身支度を終えた。

「そういや、その犬には名前つけたのか?」
「シドって名前にした。絵本に出てくる、海賊の名前」

 サージが馬車までリーゼと並んで歩く。シドと名前の付けられた子犬は、リーゼの足にまとわりつきながら歩いていた。
 名づけの元になった海賊のシドは、海賊といっても義賊なのだ。悪徳商人の船しか狙わず、奪った金銭は貧しい人に分け与えているというから、わくわくしてしまう。
 大きくたくましく育ってほしい、というリーゼの願いのこめられた名前だ。

「今日は、ずいぶん早いよね」

 まだ、夜も明けていない。東の空は光が差し始めているが、あたりが明るくなるまではまだ少し時間がかかりそうだ。

「このあたりには、盗賊が出ると言うからな。早めにデリモに入った方がいい」
「デリモって領主の住む町でしょ? そこが襲われるの?」
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