幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
シドははしゃぐことなく、おとなしくリーゼの隣に座っている。まだ幼い子犬だが、賢いのかもしれない。
「……かたくなぁれ!」
馬車に乗っている間、リーゼはいつものように、紙玉を硬くすることに集中していた。
今は役に立たないけれど、いつかどこかで役に立つかもしれない。家から追放されてひと月たっても、その期待を捨てることはできなかった。
あともう少しでデリモの街に到着するという時になって、それは起こった。
「――敵襲!」
前方から、鋭い声が聞こえてくる。リリンダが、腰を浮かせ、窓から外の様子をうかがった。
「……馬車を停めろ! 中にいるのは身分の高い人間だ。攫(さら)って身代金を要求する!」
盗賊団の頭らしい男が命じる声が聞こえてくる。
「馬車を逃がせ!」
サージの声に、リリンダは馬車から飛び出していきそうになった。
だが、御者が馬に鞭を入れて速度を上げると、飛び降りるのは諦めたらしい。腰を半分浮かせ、右手は腰の剣にかけている。いつでも引き抜けるように。
「リリンダ、どうしよう」
「リーゼは何もしなくていい。動かないで」
馬車の揺れが激しくなる。リーゼは片方の手でシドとぬいぐるみ達をまとめて引き寄せ、もう片方の手で手すりにつかまった。
「……かたくなぁれ!」
馬車に乗っている間、リーゼはいつものように、紙玉を硬くすることに集中していた。
今は役に立たないけれど、いつかどこかで役に立つかもしれない。家から追放されてひと月たっても、その期待を捨てることはできなかった。
あともう少しでデリモの街に到着するという時になって、それは起こった。
「――敵襲!」
前方から、鋭い声が聞こえてくる。リリンダが、腰を浮かせ、窓から外の様子をうかがった。
「……馬車を停めろ! 中にいるのは身分の高い人間だ。攫(さら)って身代金を要求する!」
盗賊団の頭らしい男が命じる声が聞こえてくる。
「馬車を逃がせ!」
サージの声に、リリンダは馬車から飛び出していきそうになった。
だが、御者が馬に鞭を入れて速度を上げると、飛び降りるのは諦めたらしい。腰を半分浮かせ、右手は腰の剣にかけている。いつでも引き抜けるように。
「リリンダ、どうしよう」
「リーゼは何もしなくていい。動かないで」
馬車の揺れが激しくなる。リーゼは片方の手でシドとぬいぐるみ達をまとめて引き寄せ、もう片方の手で手すりにつかまった。