幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 馬車は不安定にゆらゆらと揺れながらも走り続けていたが、御者が御者台から叩き落され、強引に止められた。

「誰か、代わりに馬車を動かして先に行け! あとはここで食い止めるぞ!」

 サージの声がする。

「団長!」

 窓から外を見ていたリリンダが悲鳴を上げる。
 頭をつぶしてしまえば問題ないと思われたのだろう。
サージに向かい、集中して何本もの矢が射かけられる。矢はすべて叩き落としたものの、その攻撃に紛れて飛び込んできた男に、サージは脇腹を深く切りつけられた。

「団長! 今助けに行く!」

 リリンダが転げるようにして飛び出していく。リーゼのことはすっかり忘れてしまったようだった。

「中にいるのは子供だぞ! 捕まえろ!」

 盗賊の手がリーゼに伸びる。リーゼもまたその腕をかわして馬車から飛び降りた。
 シドが吠えながら盗賊の足に噛みつき、リーゼの逃走を援護する。本当に賢いのだと思った。

(……助ける。絶対に助ける)

 もし、ここにいたのがフランチェスカだったなら。きっと、回復魔術でサージを助けることができただろう。
 でも、リーゼにはそんなことはできない。

「団長、しっかりして!」
「リリンダ、護衛対象から離れるな! 戻れ!」

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