幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 サージの意識はしっかりしているようで、リリンダにそう声をかけている。
 本来リリンダが護衛しなければならないのはリーゼだ。だが、リーゼもここに来てしまっている。

「リーゼ嬢ちゃん、なんであんたまで馬車から降りてるんだ! 戻れ!」

 サージの言葉も、リーゼの耳には届いていなかった。

「――かたくなぁれ!」

 立ち上がろうとするサージの側に膝をついたリーゼはサージの傷に手を当て、懸命に叫ぶ。

「かたくなぁれ! かたくなぁれ!」

 全力で魔力を流し込む。血が固まれば、傷口を塞ぐことができる。
 それは思い付きでしかなかったけれど、リーゼが思っていた以上に効果を発揮してくれた。
 魔力を流し込み、傷口からあふれる血液が固まっていくのを意識する。サージの身体から流れる血が止まった

(……サージはこれで大丈夫、たぶん)

 ぱっと視線を巡らせれば、リリンダが盗賊と激しく切り結んでいる。
 リリンダは強いという傭兵達の証言も嘘ではなかったようで、リリンダの周囲には三人の盗賊が倒れていた。
 だが、盗賊団の人数は多く、ベイティス傭兵団が腕利きの者ばかりとはいえ、押され始めている。最初に、サージがやられたのが痛かったというのもあるのだろう。

「リリンダ!」

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