死神は花を狂おしい程愛してる
組み敷いている花楓が、意識を飛ばしてクタッとしている。
蒼士は花楓の少し赤みがかった頬、プクッとした口唇、白肌の身体をもう一度なぞる。

愛しくてしかたがない………
好きすぎて…まだ繋がっていたくて、繋がったまま花楓を抱き締め、横になった。

「……っつ…花楓…好きだよ……
好きだ…
好きなんだ」

蒼士は首元を押えて、涙を流す。
息ができない。
自分でもわからなかった━━━━━

蒼士は母親を幼い時に亡くしている。
それに英士の仕事の関係で暴走族や、ヤクザ等にも知り合いや仲間が多い。
学生時代、その仲間を抗争で亡くしたことがある。
それでも泣いたことなんてなかった。

そんな蒼士が花楓を想い、涙が溢れている。
好きすぎて……
苦しくて……
愛情が溢れて……

蒼士はその後ひたすら、花楓の寝顔を見つめ静かに涙を流していた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
夜が明けて、花楓が目を覚ました。
「ん……あ、私…あのまま寝ちゃったんだ……」
隙間のないくらい、がっちり蒼士に抱き締められている。
目の前に蒼士の綺麗な顔があり、顔が赤くなる。
「………/////」

安心した表情で眠っている、蒼士。
その姿があまりにも綺麗で、見惚れる。
フッと肩に目が行く。
チラッと何かが見えて、起き上がった。
「………え?
タトゥー?」
蒼士の背中に“死神”がいた。
抱かれてる時は、全く気づかなかったのに。

「……っつ!
怖い…」
思わず、ブルッと震える花楓。
ベットを下りようと蒼士の腕の中から出ようとする。

すると、ガシッと手を掴まれた。
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