誰を?何を?見ているの?

☆☆誤解は嫌


「あの!川埜さん。
川埜事務長には、
本当にお世話になっています。
だから、川埜事務長の娘さんである
あなたに何も言わずにきましたが、
私には、心に決めた女性がいます。
彼女に誤解や失望をされたく
ありません。
今日みたいにな事は止めて下さい。
私は、心狭く
弱い人間なんです。
ただ····ただ·····
彼女に嫌われたくない
そんな人間なんです。
例え彼女の心の中に別の人がいて
勝ち目がなくても····
もう、私に構わないで下さい。
宜しくお願い致します。」
と、川埜さんに伝えて
彩葉が、顔色を変えて
走って行く姿を横目で
とらえながら·····

急ぎ院長室へと向かう·····
川埜さんが、何か言っていたが
俺の耳には届かなかった。

院長室につくと·····
中から、話し声が少しもれ····

ノックをするが返事はなく
急ぎもありドアを開くと

院長の····

幸せになって欲しい
それは、俺でも、俺でなくても良い
と·····

そこは、俺を推して欲しい·····
と、思いながら······

彩葉に俺の気持ちを伝える。

彩葉は、俺が建築を好きなくせに
と、言ってくれたが····
俺には、彩葉の方が大事なんだと
わかって欲しい。

今まで·····
一緒に暮らしていた時でも
抱き締めた事は···なかった
彩葉·····
こんなに、小さくて····細くて····
必死に小さな命を守ってきたんだ
と、思うとたまらなかった

「彩葉が、遥さんを想い続けても
俺は、そんな彩葉事、想い続けて
行く。
天音に対しての気持ちは、
俺以外の誰かと幸せになるなら
それで良いと思える程の気持ちだった。
それが、あの時に直ぐにわからなかった
本当に情けない。
一緒に暮らして、あんなに
穏やかに違和感なく
ずっと一緒にいたいと
思える女性と巡り会っていたのに。
その唯一の人を手離す事に
なって、始めて気づくバカな
俺だけど。
もう、間違わないし
失いたくないんだ。
だから、もう一度だけでいい
俺を見て、知って欲しい。」
と、恥も外聞もなく
彩葉に正直な気持ちを伝える。

そんな俺達を見ながら
少し前に院長は
院長室から出ていかれた。
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