独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「琴子、俺のわがままをひとつ聞いてくれないか」

「はい、もちろんです」

内容を聞くまでもなく了承した私に、透哉さんは苦笑いした。

彼になにかをお願いされるのがうれしくて、私は期待感を募らせる。

「これから毎朝、俺より先に起きてベッドを出るのは禁止だ」

「え?」

「俺が目を覚ましたときに、琴子が腕の中にいないのが寂しいんだ。俺は毎朝一番に見るのは、琴子の顔がいい」

甘く囁かれ、私は耳まで赤くなる。

「でもそれじゃあ、朝の準備が遅れてしまいます……」

「琴子は朝の準備と俺、どっちが大事なんだ?」

「……透哉さんです」

「なら俺のわがままを優先してくれ」

私はうなずくほかなかった。

でも本当にいいのだろうか。

その夜彼に抱かれたあと、私は彼の望み通り彼の長い腕に捕らえられたまま、朝までぐっすり眠った。自分でも信じられないけれど、実家で暮らしていたときよりもよく眠れた夜だったかもしれない。


< 53 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop