独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「ありがとうございます。……透哉さん?」

振り向くと、透哉さんは私に釘付けになっていた。

「琴子のウエディングドレス姿はきれいすぎて、誰にも見せたくないな」

真顔で囁かれ真っ赤になる。

お世辞だとわかっていても心臓がきゅんとした。

「そんな……。ドレスがきれいなだけです」

「こうして俺の腕の中に閉じ込めておきたくなる」

背の高い彼にすっぽりと抱き締められ、私は動揺した。

彼に触れてもらうのはうれしいけれど、ここはドレスサロンだ。いつ誰がやってくるかわからない。

「透哉さん、だめです……」

「少しくらいいいだろ?」

「でも……」

「お待たせしました。……あら透哉、いつの間にここへ?」

危惧していた通り、そこへ玲於奈さんが戻ってきて、フィッティングルームのカーテンを開けてしまった。抱き合う私たちに、彼女は面食らった顔をする。

「す、すみません、ファスナーが上がらなくて透哉さんに手伝ってもらったんです」

動じる様子もない透哉さんから離れて事情を説明した。

< 62 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop