独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
彼だけが痛手を負い、ぬくぬくと暮らしていた自分が腹立たしかった。

「琴子が謝る必要はないよ。君との結婚のためなら、俺はどんな条件も甘んじて受けられる。それに下請け会社では学ぶことがたくさんあって、出向してよかったと思っている」

私の動揺ぶりとは裏腹に、透哉さんは意欲を高めたようだった。

「琴子さんとの結婚を通じて、透哉は成長できたようだ。出向先でも評判がいい。琴子さんのおかげだ」

お義父さまの言葉に、私は慌てる。

「私はなにもしていません。全部透哉さんの実力です」

「いいや、家庭が安定し、君との生活が充実しているから透哉も仕事に身が入るんだろう。だからもうあのお金のことは気にしないでくれ。私たちは家族なんだから貸しも借りもないんだよ」

お義父さまは優しく微笑んだ。

なんて懐の深い方たちなのだろう。私は思わず涙ぐむ。

二度と彼らの信頼を裏切りたくはない。

「お義父さま、お義母さま……本当にありがとうございます」

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