Eye Love
第５章 莢未との過去
「やっと付き合ったんだ。じれったかったね」

俺は美咲に告白した次の日、満員電車の中で俺と美咲が付き合うようになったことを渚に報告した。

「美咲の目のこと聞いた？」

「聞いたよ」

やっぱり、渚は知っていたんだ。近い未来に、美咲から光が奪われることを……。

「美咲に光が届かなくなる前に、たくさんの景色を美咲にプレゼントしてあげてね？」

「……分かってるよ」

いつか美咲に光が届かなくなっても、心の中で光続けるような思い出を俺は作りたいんだ。

「なら、よし。じゃあね、裕也ん。アルティメットの練習日決まったら教えてね」

いつものように渚は河岸で降りる。アルティメットか…。そう考えると少し憂鬱だった。昨日の練習で陽菜と美咲の仲は、こじれにこじれたからな。

俺はしばらく無い智恵を絞っていたが、いい案は全く浮かばなかった。莢未がいればな。俺はふと莢未を思い出す。

『裕也、馬鹿だね？こういう時はこうすればいいんだよ？』

頭の回転が速かった莢未。俺が苦手としていた分野を莢未は完全にカバーしてくれた。

「…そういえば俺、莢未の墓知らないや…」

俺は少しずつ、少しずつ、莢未と向き合えてる。
そんな気がしていた。
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