この恋は狂暴です
《乃野side》

「なによっなによっなによ――――――っつ!!!ホントに最低っ!!
藤木薫のばかっ!あほあほ!!もう信じられないほど記憶力なしっ!
しかもエロすぎっつ!変態っ!超―――――――――――――短気っ!!
あの女ったらし!最悪――――っつ!!!!」

私は部屋の中で枕を振り回して大声をあげていた。


はぁはぁっっ 息が切れてきた
こんなに怒りくるったのは久しぶりで軽く酸欠状態になった。




・・結局、薫にとって私は
数いる女の子達の内の一人だったんだね。



私にとっては、忘れることができないくらいの人だったのに。


カツッ!

「ん?」 窓に何かぶつかった?
窓の側に行って外を見ると、そこには桃が笑って手を振っていた。

「桃・・」 窓を開けると、

「姫。スゲー声が聞こえたんですけど(笑)近所迷惑」
そう言ってニカッと笑う。

「――――っつ、桃―――――っ」
不覚にも泣いてしまっていた。
それを見た桃は慌てて私の部屋まで駆け上がって来た。


バンッ!!
「姫!どうしたっ!?何があった?!!」
ドアがいきおいよく開いて、青ざめた顔をした桃が入ってきた

「・・・」
「姫っ!大丈夫かっ?!」 何も答えない私をさらに心配したのか桃の顔に余裕がない。

「っつ!!姫っ!一体・・っ」
「・・桃」
「どうしたっ?!」

ぷっ
「へ?」

「あいかわらず心配性だね?」 とにっこり微笑むと、桃はやっとホッとしたらしくうな垂れた。

「はあ――――――――――っ、俺が心配するのは姫の事だけだよ、
わかってるだろ?」
そう言って桃は、顔を少し上げて上目で睨む。
 
「・・うん」
私は素直に答えた。  桃は昔からなんでも受け止めてくれる。幼なじみの中でも最高に信用できる奴。
私の中では桃は大切な大切な友達だと思っていたのに
この間、あんな告白されて
正直、ショックだった。
だからつい 、あの告白の時、言葉を荒げてしまった私。
(いや、もともと口は悪いんだけどさっ!)


「姫、なんで泣いていたの?」 桃の言葉にハッ と我にかえる。

顔を覗きこんでくる桃。

・・桃の顔、知らない間にこんなイケメンになってたんだ。
久しぶりに間近で見た桃の顔。 背もいつの間にか高くなっちゃって。
中学の頃は私と同じくらいだったくせにっ! (なんかくやしっ)
なんかまた色々、ムカついてきた!


「姫、もしかして薫と何かあった?」
「!!」 いきなり桃が核心をついてきた!

「・・・・・」
 
「やっぱ、薫となにかあったんだ」
桃は私の事はなんでもわかるみたいで。

「ってか姫って、薫の事いつから好きだったの?」
「は?!」 
「姫って薫の事、好きでしょ」  真剣な顔で聞く桃。

どうして桃はなんでもかんでもお見通しなんだろ。

「・・うん」

「・・・」

「あ、でも今の薫はキライ!昔の薫が好きだったのっ、」 その言葉に桃が反応する。

「昔の薫って?姫、いつの話してんの?」 顔つきが変わる桃。
その威圧に一瞬、体が強張った。

「姫っ!」

「―――っ!そ、そんなに怒鳴らないでよっ!桃らしくないよっ!」
私は顔を逸らした。
だって桃の顔なんか怖い・・よ。

「――――ご、 ごめん」 桃は私の声の変化で気づいたのか、すぐに元の優しい顔であやまる。



「・・うん。私こそごめん。
・・桃、  私が薫と会ったのは中学の時だよ。  その時、初めて薫と出会ったの」
「え?そんな情報、聞いたコトない・・」
「ううん」 私は首を横に振った。 そして続けた。

「桃はわかるよ 
・・あの事件での事だから」

「っつ!!!」
あの事件と聞いて、察しがついたのだろう、桃は、

「あの事件って、クソっ!思い出してもムカつく!!」 そう言ってまた顔を歪ませた。 

「でもっ!あれのどこで薫と関わったんだ? あれは俺ら水崎中の奴ら全員で姫を見つけ出して・・」
ゆっくりとあたしを見る桃。

私は、あの日あった本当の出来事を桃に打ち明けようと決心した。

だって
もう隠す必要ない 

・・・薫は忘れてる・・私のことなんて


もう時効だよ・・ね?
それにこんなに心配してくれる桃にこれ以上、秘密にしておけない。




私はゆっくりと話はじめた。
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