私に恋を教えてください
「課長……?」
そう言って、須藤は緩く首を傾げる。

「課長……ですよね?」
「そうだけど。そうだな、レッスンその1俺は君の何?」

そんな風に尋ねる須藤はいつもの仕事中とは違う、いたずらっぽい表情で柚葉を覗き込むので、柚葉は胸がきゅんとする。

お仕事中とは全然違います……。

「えっ……と、お付き合いのお相手……? でしょうか?」
「そう。役職で呼ぶのは会社だけ。プライベートは名前で呼ぼうか」

「す……須藤、さん?」
「俺は駆琉(かける)っていうんだよ。」

(そ、それは名前で呼べってことでしょうか⁉︎ ハードルが高い! です!)
にこにこしているけれど、須藤は柚葉が名前を呼ぶのを待っている気配だ。全然容赦してくれる感じではない。

「駆琉、だよ。呼んでごらん?」
とても優しい声。
名前を呼ぶだけ、呼ぶだけ……。

「柚葉……? 大丈夫? 息してる?」
「……はっ! いえ…い、息できないです。どきどきするし、胸が……」

──それに、そんな風に名前を呼ばれるだけで、どきどきしてしまうんです!
須藤は笑顔でじいっと柚葉を見ている。
「え……っと……」
< 119 / 277 >

この作品をシェア

pagetop