私に恋を教えてください
「まあ、すこしの時間だけど、部屋でゆっくりして」
「ありがとうございます」

「ん」
今度こそ、須藤は柚葉の頭をそっと撫でた。
子猫のように、大人しく撫でられている柚葉がとても可愛い。

「さて、俺も明日の確認をしてくる。」
「はい。いってらっしゃいませ」

その瞬間、須藤が目を見開いて、口元を手で覆っている。
少しだけ顔が赤い気がした。

「課長……?」
「ん、いや。いってらっしゃいませってなんかいいな」

「え?あ……あの、常務にも、いつもそのように……」
自然に発した言葉だったのに、そんな風に須藤が反応してしまうとは思わなくて、柚葉は自分の方が気恥ずかしくなって、慌ててしまった。
「そっか……。では、いってきます。」
そんな風に言われると、今度は柚葉の方が照れてしまう。

つい、引き止めたくなってしまうような。
「あの…お気を付けて。」

「会場は隣の建物だけどね。まあ、一応気をつけるよ。」
ゆっくり休んでともう一度、柚葉の頭を撫でて須藤は会場である展示場に向かった。



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