私に恋を教えてください
「じゃあね、ゆーちゃん」
──ゆーちゃん……柚葉の愛称だろうか。
綺麗な顔立ちの若い男性だ。

柚葉と歳も近そうな。
つい、須藤は足を止めてしまう。

彼はすらりとしてスタイルのいい身体に、センスのいい服を纏わせてゆったりと歩いてくる。
すうっとすれ違っても、須藤は身動き出来なかった。

社員ではないと思う。
けれど、柚葉とは似合いそうだ。
須藤はぎゅっと拳を握ってから、柚葉の部屋のドアをノックした。

『はい?』
「柚葉……?須藤です……」
『あ、えっと……部屋着なんですけどいいですか?』
ドアの向こうから聞こえる柚葉の戸惑った声。
「構わない。君さえ良ければ」

ためらいがちに、ドアがそっと開けられる。
柚葉は、ベージュのシャツタイプのワンピースを着ていた。

その時ふと、目に入ったベッドの向こうのテーブルの上に、2人分の飲み物を空けた跡が見えたのだ。
「誰かいた?」
柚葉に問いかける声がつい低くなってしまう。

「え、あ……あの、はい……」
「誰?さっき、廊下で男性を見たような気がしたんだけど」
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