私に恋を教えてください
いつも須藤が優しくしてくれるから、そんなことには思いが及ばなかっただけで。

「駆琉、凌平も懐かしがっているし、今度一緒に食事でも行きましょう」
「打ち合わせなら喜んで。プライベートなら断る」

由布は軽く目を見開いた。
側で見ていた柚葉も、だ。

「由布、もう終わっただろう?君も俺に未練なんてないだろう」
きっぱりと、須藤は由布にそう伝えた。

「分からないわよ。凌平が懐かしがっていたのは、本当よ。もう本当に堅物なんだから。分かりました。お声をかけるのは、お仕事のときだけね?」

「今は、彼女がいるから、プライベートで君と会うことはしない」

自分の前にいる由布にも副社長にも侑也にも見えないだろうけれど、須藤はそっと柚葉の背中に手を触れていた。

その温かくて大きな手のひらの感触を感じて、柚葉は泣きそうだ。

「大事なのね、その彼女」
「そうだな」

「分かったわよ。ごめんね榊原さん、困らせてしまって」
「いえ……」
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