私に恋を教えてください
侑也に挨拶を終えた菅沼が由布に声をかけ、2人は立ち去っていった。
侑也は、今度は副社長である瑛と話している。

そっと背中の手が柚葉を撫でて、ゆっくり離れた。
横から低い声が聞こえる。
「気にするなよ」
柚葉は俯いた。
「はい」

大丈夫。
ちゃんと大事にされている、と分かって、ただ泣きそうになっただけなのだ。

どうしよう。
本当にとても好き。

背中に触れていてくれた手が、好き。
由布の誘いをきっぱりと断ってくれた横顔が好き。
柚葉に、気にするなと言ってくれた声が好きだ。

ITコンベンションは好評のうちに幕を閉じ、帰る!と言う侑也とエントランスまで歩く柚葉だ。

「柚ちゃんは俺の車で、いい?」
──はい。
そう返事しようと思った柚葉の手を、後ろから来た須藤が握る。

「待ってください。榊原さんは俺と帰ります。常務、仕事は終わりましたね?もう、いいですか?」
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