私に恋を教えてください
車から降りてきたのは、榊原貴広だ。
こんな形で急に家族と会うのは、大丈夫だろうかと心配になった柚葉が駆琉を見るけれど、駆琉は平然としている。
いつも通りだ。

「初めまして。柚葉さんとお付き合いさせて頂いています、須藤駆琉と申します」
柚葉の祖父と父である貴広と悠真にハッキリと名乗り、付き合っていると明言する。

そうだわ、こういう人だったと柚葉は思った。
駆琉に限っては、おどおどしたり後ろめたくなるような事はしない人だから。

「柚葉の会社の人かな?」
悠真が首を傾げる。
「はい。柚葉さんと同じ部署のマネジメント事業部で1課の課長をしております」

柚葉にしてみれば予想外のことではあったし、父だけならともかく祖父にまで会うことになってしまい、面映ゆい気持ちだ。
幸せなような申し訳ないような。

けれど駆琉の貴広や悠真にも怖気づかないところはさすがで、柚葉はそんな駆琉の姿につい見惚れてしまう。
それに気付いた駆琉は、苦笑して柚葉の頭を撫でた。

「いずれご挨拶したいと思っていたから。大丈夫だよ」
「はい」
その仕草を見て、貴広が声を掛けた。

「なあ、須藤くんだっけ? それほどの覚悟をしていたとは見上げたもんだね。これから、ここんちでお茶をご馳走になろうと思っていたんだけど、もしお時間あれば君もどうかな?」
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