私に恋を教えてください
お気づきであろうが、今この場でもっとも警戒すべきは、父親である悠真でもカリスマと呼ばれる貴広でもない。

一見は、今時の草食系男子にも見える、この榊原透悟が誰よりもヤバいのであった。

簡易なホームパーティならできる、榊原家である。
リビングダイニングだけで、普通の家なら一軒は入ってしまいそうな広さだ。

この人数が集まっても、さほどの狭さは感じさせないのはさすがである。
しかし、駆琉は先程から妙な圧を感じてはいた。

──まあ、柚葉は確かに可愛いし? 可愛がられてもいるんだろう。

お前は相応しいんだろうな? と値踏みされることも、当然覚悟はしていたが、それにしても……である。

「ECFだよね?」
貴広がそう駆琉に笑顔で尋ねた。

株式会社エンジニアリング・コンサルティング・ファーム、それが駆琉と柚葉が勤めている会社の正式名称だ。省略して『ECF』と呼ばれることが多い。

「はい」
「柚葉は今、役員の秘書的な業務をしていると聞いているけれど」
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