私に恋を教えてください
『どなたが着るの?』
「私が着てお夕飯を一緒にする、ということなんですけど」

『まあ……。お振袖?そうね、お仕立てがいくつかあるから。大丈夫よ。帯は少し簡単になってしまうけど』
サロンを開いているさくらは、着付けも習得していた。

柚葉用に仕立ててある着物が、何点かある事も柚葉は知っていた。
けれど、振袖まであるとは。

「お願いします。ヘアはいつものところに予約を入れます」
『そうね、1時間あれば準備はできるわ』

「分かりました。今からヘアをセットしてから戻ります」
『はい。準備しているわね』

無理!とかは一切言わず、準備を手伝ってくれる母がいることが柚葉には心強い。
お父様が、お母様に弱いの……分かる気がするなあ。

行きつけの美容室で髪をセットしてもらっていると、父の運転手が桐箱に入ったかんざしを持ってきてくれる。
「柚葉さん、お母様のご依頼でこちらお届けに上がりました」

お母様!本当にさすがです!!

ゆるく巻いて上げた髪に、華やかなかんざしを挿す。
馴染みの美容師なので、メイクまで施してくれた。
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