私に恋を教えてください
そうして自宅に戻ると、母のさくらが一式を広げて待っている。
柚葉はさっさと着物用の下着に着替えた。

「良かったわ。お着物も着てあげないとかわいそうだもの」
そんな事を言って、さくらはどんどんと着付けを進めていく。

「ゆーちゃんから電話をもらってすぐにね、須藤さんからもご連絡いただいたのよ」
「駆琉さんが? どうしたのかしら?」

「常務が無茶なお願いしたみたいですけど、大丈夫でしょうか? って」
くすくす笑って、さくらは帯を締め始めた。
タブレットを手元に置いて帯の結び方を確認している。

「振袖もあるし、着付けは私でできるので問題ないですってお伝えしたら、すごくホッとしていらっしゃったわ。ただ帯の結びは難しいものはできないかもと話したら、動画のリンクを送ってくださったのね。よく思い付いたわよね」
という事は、今さくらが確認している動画は駆琉が送ってくれたものなのだ。

「あら……ゆーちゃん、真っ赤……」
「うー、だって……」

「素敵な方よね。ゆーちゃんは、すごくいい子だけれど、箱入りさんだからどうしようかなって私は思っていたんだけど、あの方で良かったわ」

駆琉がいつも柚葉には言わずにしてくれる、柚葉を守る行動は、それにはいつもきゅっと胸を引き絞られそうな気持ちになるのだ。
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