私に恋を教えてください
中から聞こえる、抜けたような声に柚葉は少し安心しつつ、侑也にはまっすぐ向き合って、頭を下げた。
「常務、ご迷惑お掛けして申し訳ありませんでした」

「迷惑なんて、かかってないから、へーきだよ。ん?須藤に怒られたの?」
「いえっ!須藤課長は当然のことを仰っただけで……」

「新人なんだし別に最初から完璧に、なんて思わなくていいしね。それに基本、俺の取引先はリレーションあるんで、ちょっとしたことくらいで、目くじら立てるような先はないよ」

「でも……っ」
「真面目に向き合ってやってくれてるし、俺もそんな事くらいで怒んないから。大丈夫」
侑也は柚葉に笑顔を向ける。

「ありがとうございます」
そう言って、柚葉はにこっ、と笑うけれど、いつもの元気はない。

侑也が柚葉に言ったことは、本当の事だ。
そして、侑也も心からそう思っている。
だから、
──本当にそんなに気にしなくていいんだけど。

侑也はそう思うが、もしかしたら柚葉は気にしてしまうたちなのかも知れず、一生懸命、侑也に笑顔で対応する姿はとてもいたいけだ。

侑也自身、最初は可愛いけれどそれだけ、が榊原柚葉の印象だった。
大人しそうで、正直色気もないし。
< 21 / 277 >

この作品をシェア

pagetop