私に恋を教えてください
「す、すみません。私、退きます」
「ん……いいよ。すぐ終わる……」

須藤が確認している間は、自分が一緒に画面を覗き込むわけにもいかず、柚葉は視線を彷徨わせる。

それでも須藤の真剣な姿には、つい柚葉は目を奪われてしまうのだ。
真剣な姿って、すごく素敵……。



そして須藤はチェックを進めながら、感心していた。
メモは柚葉の綺麗な字で、細かく気づいたことなどを書き込みされていて、彼女の細やかな気遣いが見て取れるからだ。

須藤は基本的には、効率を重視しペーパレス化には賛成派だ。
けれどそれは慣れているから出来ることだ、ということも理解している。

その点柚葉のメモは的確で無駄がなく、慣れればスムーズに業務もこなせそうだ、と思った。

「よし、大丈夫だな。」
全てのチェックを終えて須藤は、柚葉に笑顔を向けた。

「頑張りましたね。メモも細かく書かれてあるし、榊原さんの努力がとても良く分かる」

ミスをしたのにそれを責めることなく、柚葉のやったことを認めてくれた。
それが嬉しくて柚葉の胸がぎゅうっと熱くなる。
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