私に恋を教えてください
「榊原さん可愛いし、優秀だからいろいろ教えてみたかったんですよねー。すごく楽しみだわ」
自分以外にも彼女の評価が高かったと知って、須藤はなぜか気持ちがムカムカする。

「そうだな。すごく頑張り屋だしな」
(俺だってそんな事、知っている)

「ですね」
当然のようにそう返されて、また須藤は胸がザワつく。
いや、優秀な部下ができたのだから、何もざわつく必要などないのだ。

軽くため息をついて、須藤は業務に戻った。
……最近、ため息が多いような気がする。
気をつけなくては。



通常、榊原柚葉は出勤するとまず、事業部の席でパソコンを立ち上げる。
その後にすぐ、常務の執務室に向かうのだ。

時間には割と正確で、毎日同じ電車に乗っているのだろうと思われた。

「おはようございます。」
そう言って、元気に笑顔で職場に入ってくる柚葉だ。
今日もいつもと同じ時間だった。

「榊原さん」
須藤はデスクにいる柚葉に声をかける。

「はい。あ……課長、昨日はありがとうございました」
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