私に恋を教えてください
声を掛けてきた須藤に、柚葉は嬉しそうな顔を向けた。
素直にお礼を伝える柚葉は、いい子だなと思う。

須藤は柚葉から目を逸らし、席にいながら、こちらの様子を伺っている春野に軽く手を振る。

「榊原さん、昨日のOJTの件で伝えておきたいことがある。昨日言っていた君の教育担当を紹介するから。春野さん!」
はい、と返事して春野玲奈が笑顔で課長席に歩いてきた。

「榊原さんのOJT担当をしてもらうことになる春野さん。これからは、彼女に聞いて、いろいろ勉強してください」

「あ……はいっ!ありがとうございます。春野さん、よろしくお願いいたします!」
元気に挨拶した柚葉は、春野にぺこりと頭を下げる。

「こちらこそ。分からないことはなんでも聞いてね。」
主任である春野にも新人の柚葉の面倒を見ることは慣れたことだ。
柚葉にとっても安心感があるだろう。

「よろしくお願いします!」
柚葉はとても、キラキラした眼で春野を見ていて、春野に依頼して良かった、と須藤は思った。

「榊原さん、元気ね?」
「笑顔と元気くらいしか取り柄が無くて……」
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