私に恋を教えてください
柔らかく須藤がそう言うと、柚葉は笑顔になった。

「はいっ。ありがとうございます」
素直で、真っ直ぐな子だ。
この笑顔を守りたいって、どれほどの人が思うか。

できれば自分もそうありたいと、柚葉と触れると須藤はいつもそう思う。



──今日は真っ直ぐ帰りたくないな。
そう思っていた須藤は、仕事の帰りに行きつけのバーに寄っていくことにした。

そこのカウンターで見慣れた姿を見つける。
「春野……」

「須藤課長、ちょうどよかったわ。いろいろ話したかったから」
カウンターにいた春野が、テーブル席に移ろうと言う。

須藤も食事をしていなかったので、ちょうど良かった。
「何か食べるか?」

春野は首を横に振った。
この2人は年齢も近く、気も合う。
こんな風に、何の気なしに食事をするときに店が合致してしまうくらいには。

お互いに気持ちはなく、その時に時間が合えば、一緒に時間を過ごすというような間柄だ。
互いにサバサバとした性格なので、気が合っていたし、そのスタイルも合っていた。
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