私に恋を教えてください
相手がなんとも思っていないのに、自分だけが落ち着かない気分になるのは何だか納得いかない。
けれど相手は常務なのだから、仕方ない。
柚葉はそんなふうに言い聞かせて、仕事に戻った。

そして一日の仕事を終え、マネジメント事業部の自分の席に戻り、いつものように新しい事案についての入力を始める。

ちょうど入力が終わる頃、席を外していた須藤が戻ってきた。
もう部内には人はいなくて、プレゼントを渡すのにも最適だと柚葉は思った。

──課長にも渡そう。
柚葉はオフホワイトの手提げを持って課長席に向かう。

えっとお礼は望ましくないのよね、きっと。
「課長、差し入れです」

「あ、常務から?」
違う。このままでは、誤解されてしまう。

「いえ……本当は先日のお礼の気持ちです」
「お礼の気持ち?そんなの、いいのに」

「けど、他に感謝をお伝えできる方法がなくて」
「一生懸命仕事をやってくれればいいよ、って思うけど…。気を使ってくれたんだよな。ありがとうな」

一悶着あるかと思ったけれど、柚葉の様子を見て、すんなり受け取ってくれた須藤だった。
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