私に恋を教えてください
けれどそんな事できるわけもなく。
できたのは、口の中にマスカットを放り込んだくらいだ。

それでもそれを素直にぱくん、と食べた柚葉に胸を掴まれたことも間違いはない。

柔らかそうな唇とちらりと見えた舌と、白い歯のコントラストが妙に艶めかしくて。

須藤は離れた所から改めて、侑也を見た。

相変わらず、綺麗なスーツ姿と魅力的な表情。侑也にリーダーシップがあるというのは、意外と気を遣う所があるからだ。

侑也はとにかくモテる。
それは須藤がこの会社に入社する前からそうだった。

本人もそれは分かっていて、来るものは拒まずみたいな生活をしていたはずだ。
なのに……。

少し離れた場所で、当然のように柚葉の横に立ち、側から離さないようなあんな姿は……見たくなかった。

侑也が本気ならば、自分はどうしたらいいのか。

諦めて、手を離せばいいのか。
そうして誰かの隣に立つ柚葉を見るだけにすれば?
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