【完結】打算まみれの恋


 私は男が嫌いだ。男は皆姉を好きになって、姉を傷つけるから。

 挙句なんとか近づこうと私に仲介を求める人間も後を絶たなかった。

 靴箱に姉宛ての手紙がみっちりと詰まって、上履きが取り出せないことなんてしょっちゅうあったし、断れば僻みだと糾弾された。

「姉は美人でも妹は普通だし僻んでるんじゃない?」
「ブスのくせに性格まで悪いとか最悪」
「あいつだけどっかから拾ってきたんじゃない?」

 悪口のレパートリーは、この三種類。

 この三種類に個々のアレンジを加えて私に言い放たれていく。それに、姉に対して「一回でいいからホテルに行こう」なんて誘いをする馬鹿も出てきた。秒で殺されてたけど。
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