今は秘書の時間ではありません
「あの朝ごはんが食べたいだけじゃないんだ。君からの気持ちが嬉しかったんだ。君は秘書としてご飯を持ってきてくれたのかもしれない。けど俺は目が離せなくなってしまうほど可愛くなってしまった秘書が持ってきてくれる気持ちが嬉しくて仕方なかったんだ。」

「…」

「君は秘書として申し分なく優秀だ。なぜ俺に必要ないと言うのかわからない。俺が君に認められてないのかもしれないが俺は君が必要だ。」

「社長は凄い方だと思ってます。私が認めてないなんてないです…。」

涙声で小さく返してくる。

「ありがとう。俺は秘書としての君に惚れたんだ。そして君の気配りに、優しさに…全てに惹かれたんだ。だから秘書として君が必要だ。でも、それとは別に俺のそばにいて欲しいと思ってしまったんだ。今ひとつ、こう言う時に限って口下手になったけど…35にもなって上手く伝えられなくてもどかしいけど…君のそばにいさせてくれないか。」

また嗚咽が聞こえてきて不安になる。

「なぁ、聞いてるか?俺は公私混同と言われるかもしれないが君だから惚れ、君だから惹かれた。」

「…」

「なぁ、出てきてくれないか。」

「…」

「35にもなって恥ずかしいけど、本当に好きなんだ。」

「…」

「君は俺のダメなところも悪いところもみんな見てきたもんな。ダメかな?君からの信頼は勝ち取れなかったかな?」

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