今は秘書の時間ではありません

初デート

昨日はあまり眠れなかった。
夜あんなことがあり私はドキドキしてなかなか眠れなかった。
3時くらいにやっと眠れたんだと思う。
久しぶりの恋愛に胸がいっぱいになった。

やっと9時過ぎに起き、顔を洗うとちょっと浮腫み気味。

昨日たくさん泣いたもんな。
結局悲しい涙から嬉しい涙になったけど…。

私は朝ごはんを食べ、支度をした。
初めてのデート。
やっぱり可愛いと思ってもらいたい。
淡い黄色の夏らしいワンピースにした。
サンダルを合わせるつもり。
少し大人びた感じではあるが爽やかな色が最近のお気に入りの1枚。

ついつい早めに部屋を出る。
まだ10分も早い。
エントランスで待とうとふと見下ろすと下には既に車が停まっている。

白のRV車の横に一樹らしい姿が見える。

慌てて降りると、
「紗奈おはよう。」
とまたチュッとキスをされる。

また真っ赤になってしまう。

「おはよ。」

「今日も可愛いなぁ。さぁ、車に乗って!出かけよう。」

「はい。」

「俺の好きなところに連れていっていい?」

「はい。」

「じゃ、出発!」

走り出した車の中では洋楽が聞こえてくる。

「紗奈、ちゃんと寝れた?」

「…ちょっと遅くなりました。」

「俺も。でも朝は早く目が覚めたよ。遠足が楽しみな子供みたい。」

「ウフフ。」

「あ、幻滅した?35に見えないよなぁ。智己に言われるんだよな。大人の顔した子供だって。あいつが落ち着きすぎてるんだよ。」

「仲良いですねー。羨ましい。」

「あいつとなんて羨ましくなんてないよ。俺は紗奈との方がもっと仲良くなりたい。」

「…どうしてこうストレートに言うんですか。」
ぼそっと小さな声の紗奈。

恥ずかしがってる姿に俺はまたグッと気持ちを持っていかれる。

紗奈のそういうところが俺を掴むんだよ。
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