今は秘書の時間ではありません
泣き過ぎて化粧が落ちひどいことに…恥ずかしい。

でも目を冷やしてくれたから腫れはほとんどない。

何とか手持ちの化粧品で整えた。

髪ももらったコームをさしスッキリとまとめた。

一樹は化粧室の前で待ってくれていた。 

「ごめんね。化粧がみっともなくなっていて…。」

「そんなことないよ。すっぴんも可愛かったから俺は気にしないけど。髪の毛、似合うね。凄くいい。」

「ありがとう。」

「ねぇ、紗奈。今度は俺が買い物してもいい?前にワイシャツとかストックを社に置いておいてと言われてまだ用意してないんだ。何枚か買ってもいい?」

「もちろん。」

気まずい空気を変えるかのように一樹は提案してくれた。
私はどうしたらいいのかわからなかったから助かった。

一樹について紳士服売り場へ行くとオーダーシャツのためサイズを測り、生地やデザインを決めていく。
一樹は悩まないのかサクサクと決めていく。
仕上がったら配送してもらうよう手配までしていた。

「ねぇ、紗奈は買い物ないの?」

「普段からそんなに物欲ないの。だから大丈夫。ぶらぶらするのが1番好き。で、たまたま見つけたものを買うのが好きなの。」

「じゃ、ちょっと移動しよう。」
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