今は秘書の時間ではありません
目が覚めると明るい陽の光に目が眩む。

一樹は隣でまだ寝ている。

何時??

バッグを探すが近くに見当たらない。

ふと見ると壁に時計があり針は9時を指していた。

私は飛び起き一樹を起こす。

「大変!一樹!起きて!お願い。起きて!」

「うーん…何?」

「今日月曜日だよ!一樹仕事だよ!」

「うわぁ!何時?」

「9時みたい。」

「ヤバイ。智己に叱られる。」

飛び起きた一樹はスマホを探す。
恥ずかしながら私たちの荷物は玄関からここまでの間に散らばっていた。

『智己、悪い。寝坊した。これから出社するからリスケ頼む。あと30分で行くから!』

「紗奈、愛してる!一緒に朝を迎えられて嬉しい…けど大ピンチだ。」

「一樹はやくシャワー浴びて!スーツ出すから!」

「分かった!」

バスルームへ飛び込む一樹を横目に私は昨日着ていたワンピースを慌てて着込み、クローゼットにある一樹の洋服を準備した。
秘書として勝手がわかるこのクローゼットをみて笑いが込み上げる。
私が彼を遅刻させることになるとは…。
タクシーの配車も手配した。

落ちてる荷物も拾い集めたころ一樹はスーツに身を纏い颯爽と飛び出してきた。

「紗奈、紗奈は有給消化だけで復職だよ!夜また話そう。」

これ紗奈の鍵だからいつでもきて。

「一樹ありがとう!タクシーがエントランスに来てるから早く乗って!」

玄関へ送り出すとチュッとされる。

「いってらっしゃい!」
< 98 / 108 >

この作品をシェア

pagetop