どうにもこうにも~出会い編~
 来たる土曜日の朝。日の眩しさに、ぼやけた意識が次第に覚醒させられる。

 あれ、目覚ましは?

 8時にセットしたはずの目覚まし時計。まだ8時前かな?私は眩しさに開けた目を細めた。焦点の合わない目が目覚まし時計をとらえる。

時計の針は10時32分をさしていた。

「…!!!?」


 寝坊した!!!


 最寄り駅まで自転車で行って10分、それから電車でS駅まで15分。顔を洗って服を着て髪をセットして化粧して…準備をしていたら11時半には間に合わないかもしれない。いや、これは確実に間に合わない。初めてのデートに遅刻なんてありえない!

 昨日は緊張しすぎて寝られなかった。服は何を着ようか、どんな髪型で行こうか、服に合わせるならバッグはどれがいいか、考えていたらいつの間にか日付をまたいでいて、ベッドに入っても遠足前の小学生みたいに目がギンギンに冴えてしまって寝付けなかったのだ。それでこの様である。


 髪型は時間がないのでアップにまとめ、昨日の夜のうちに用意したお気に入りのフリルブラウスにピンクのカーディガンを羽織り、スキニーパンツにパンプスを履いて家を出た。

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