若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「大丈夫です。私よりも心強い味方がいるじゃないですか」

「心強い味方……?」

「若旦那さまですわ」

 翠子さんはにっこり微笑む。

「そうは思えないけど」

「今朝のご様子もいつもと違っていましたし。毎朝、大奥さまの問いかけには返事をしますけれど、今日はご自分から進んで会話をしていらっしゃいました。澪緒さまが心配なのだと思います。それにお買い物までお付き合いしてくださるなんて」

 にこっと笑った翠子さんはホットコーヒーをひと口飲んで続ける。

「澪緒さまは若旦那さまを好きになって、ご結婚する気になられたんですよね?」

 本当は三カ月のお試し期間中で、結婚するかどうかもまだわからない。でも翠子さんはそれを知らないから、私が絢斗さんを好きになって婚約したと思っているのだろう。勝手なことは言えないから、そのことは口にせずに話を進めよう。

「好きになって……とは違うかと。理由は色々あるけれど、一番の理由は家族団欒が恋しくて」

「家族団欒……」

 答えが意外だったようで、翠子さんはポカンとなる。
< 100 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop