若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
 食べたかったチーズバーガーやポテトフライ、炭酸の入ったドリンクを購入して、二階のテーブル席に座る。

 お昼時間を少し過ぎているせいか、店内で飲食している人は少ない。

「いただきます!」

 さっそくチーズバーガーを頬張る。

 美味しい。和食も嫌いではないけれど、ロスでのランチはほとんどハンバーガーだった。

「美味しい~、生き返る~。けど、こっちのドリンクのサイズは小さいなぁ」

「海外のお店は大きいですよね。以前、アメリカへ旅行したときに驚きました。飲みきれませんでした」

「私も飲みきれないけれど、あの大きさに慣れちゃったから、これは……」

 ポテトフライをつまんで口に入れ、肩をすくめる。

「澪緒さま、私でよかったらなんでも聞いてくださいね」

 私は食べる手を止めて、対面に座る翠子さんの方へ身を乗り出す。

「本当ですかっ? ありがとうございます!」

「覚えることがたくさんありますから、お手伝いできればと思っています」

 ロスに女友達はいるけれど、彼女たちには感じたことのない親しみを覚える。

「翠子さんがいてくれて心強いです」

「御子柴屋の若奥さまになるのは苦労すると思いますが、応援していますから」

「それなんですよね……」

 ポテトを一本持ったまま、椅子の背に体を預けて重いため息を漏らす。

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