若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
 アルコールが入ったせいか、一緒にいる絢斗さんのせいか、私は上機嫌で家に戻ってきた。

 しーんと静まり返る家の中へ入り、二階へ上がる。私のうしろから絢斗さんがついてくる。

 踊り場に到着した私は今日のお礼を言おうと振り返った。思いのほか勢いがついて絢斗さんにぶつかりそうになる。

「きゃっ」

 ぐらっと体が揺れたところを彼の手が腕を支えてくれた。

「ありがとう」

 とっさに英語が出る。

「どういたしまして」

 絢斗さんからの返事は綺麗な発音の英語だ。この前も流暢に話したのを思い出す。

「そういえば、どこで習ったの?」

「高校のとき、一年間ロンドンの学校に留学をしたんだ」

「だから綺麗なのね。でも一年間だけの留学で流暢に話せるなんてすごいわ。若旦那さま、今日はごちそうさまでした」

 にっこり笑って頭を下げる。

「さっきまで絢斗さんだったのに、急に変えるんだな」

「だって、家に帰ってきちゃったから。おばあさまに聞かれたら大目玉食らっちゃう」

 そう言うと、彼は口元を緩ませる。

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