若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「はい。申し訳ありません」

 もう一度謝り、おばあさまの気分が戻るのを待つ。

 おばあさまは大きくため息を漏らし、花鋏を手にした。

「考え事などせず、こちらに集中なさい。楓を主枝として形を決めます」

 私とおばあさまの前には平たい丸い花器がある。そこにおばあさまはまだ綺麗な緑の葉をつけた枝を挿した。

 続いて、紫色のリンドウとピンクや白のカーネーションを挿し、最後に剣山が見えないように葉や花で根締をして終わる。
 
 正座に慣れていないので、足が痺れ始めておばあさまにわからないように足をもじもじ動かす。

「澪緒さん、やってみなさい」

「はい」

 痺れを気にしないようにして、楓の枝を手にして好みの長さで枝を切る。

「それでは長いですよ。バランスを考えませんと」

「はい」

 今の私には「はい」しか言えない。余計なことを言っておばあさまの機嫌を損ねたくないから。

 おばあさまはすっくと立ち上がり、私のもとへやってくる。
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