若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
 六人掛けのテーブルに帯のような金の地のセンタークロスが敷かれ、三人分の和柄のプレースマットの上にお箸とお皿が用意されていた。

「ここに座って」

 絢斗さんはふたつ並ぶ椅子のひとつを引いて私を座らせる。

 私の対面にはおばあさまが腰を下ろし、私の左手に絢斗さんが着く。

 キッチンでは白いエプロンを身につけた女性が忙しそうに動き回り、江古田さんが料理のお皿を私たちの前に置いていく。

 母が和食好きで、よく作ってくれていたので出されたものはすべてわかる。

 五種類のお刺身、ぶり大根、茶わん蒸し、漬物などが素敵な器に盛られている。

「いただきます」

 背筋をビシッと正した絢斗さんが両手を合わせる。おばあさまも同じで、私も急いで両手を合わせた。

「いただきます」

 白いエプロンの女性が白いご飯とお味噌汁を運んできた。「ありがとうございます」と口にすると、絢斗さんが紹介してくれる。

 彼女は江古田さんの奥さんの芳子さんだそうだ。

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