若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
 笑顔を向けてくれ、旦那さんの私に対しての仏頂面とは違ってホッとする。

 食事中、おばあさまはぽつぽつと絢斗さんに話をするが、私は蚊帳の外で食べることに集中する。

「まったく、野良猫みたいな娘を気に入るなんて……」

 ふと私の耳に入ってきたおばあさまの言葉にハッとして顔を上げる。目上の人は尊重するように母から教わってきたので、野良猫発言に反論していいのか迷って絢斗さんへ視線を向ける。

「おばあさま、野良猫は野良猫でも、美人で性格も可愛い野良猫ですよ」

 っ、はぁぁぁ? 私を可愛い野良猫呼ばわりしているっ!

 けなしているのか、褒めているのかわからなくて、私は口を閉ざすしかない。

「この子に一から教えるのは大変ですよ?」

「どの令嬢を迎えたとしても同じことですよ。働いたことのない娘さんではおばあさまの手がもっとかかるでしょう」

 私を擁護しているのかな……。

 口を挟まず傍観していると――。

「澪緒さん、おばあさまの期待に応えて頑張ってください」

 絢斗さんは涼しげな目を私に向け、挑戦的な笑みを浮かべた。

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