若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「……はい?」

 ドアが開き、紺色のパジャマを着た絢斗さんが姿を見せた。目と目が合った途端、彼は「クッ」と笑う。

「襲いに来たわけじゃない。そんなびくついた目をするとは。見た目よりも経験がなさそうだな」

 私がアメリカ育ちだから、異性関係もオープンなのだと思われているのかも。

「み、見た目で判断するのはやめてください」

「それに勉強熱心だな」

 腕組みをしドアの柱に寄りかかる絢斗さんは、私の横にある本へ視線を向けた。

「勉強熱心なわけじゃ……眠れなかったんです」

「寝床が代わると寝つけない?」

「ベッドで眠りたいです」

 希望ぐらい言ってもかまわないのでは?

「ベッドか……俺の部屋にふたりで寝られるベッドがあるが?」

 次の瞬間、私の顔がボッと火がついたみたいに熱くなる。

 部屋はそれほど明るくないから彼には気づかれないよね?

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