若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
 受付後、血液検査やレントゲン、内科医による問診、そして産婦人科でブライダルチェックなどを済ませ、会計が終わったのは十三時を回っていた。

「ブライダルチェックまで受けさせてしまって申し訳ありません」

 ロビーで待っていた翠子さんは即座に謝る。

「おばあさまの指示なんだから仕方ないです。私はどこぞの馬の骨扱いだし」

 未経験での産婦人科の診察は色々とショックを受けたけど、御子柴家としての考えも納得できるから仕方がないと思っている。

「お腹が空きましたよね。お昼を食べに行きましょう。若旦那さまとは二時に日本橋のデパートで待ち合わせをしています。食べたいものはありますか?」

「ファストフード店のハンバーガーが食べたいです。あ、でも、苦手なら別のものでも……」

 上品な翠子さんが大きな口を開けてハンバーガーにかぶりつく姿が想像できない。

「いいえ。私もハンバーガーが食べたいです。ひとりの食事がなかなかないので、最近ご無沙汰だったんです」

「本当に? 翠子さん、ハンバーガー好き?」

「ええ。好きです。たしかこの最寄り駅にファストフード店があったと思います。行きましょう」

 病院を出た私たちは駅に向かって歩き、十五分後、目的のファストフード店に到着した。

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