エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
なんとも重苦しい沈黙が湿気を帯びた生暖かな風とともに私達の間をすり抜けていく。
突然の出来事に呆気にとられてポカンとしている私の眼前で立ち尽くしたままでいる加納は、相変わらずひどく怯えたような表情のままだ。
なんだか、見ているこっちがいたたまれない心持ちになってくる。
さっきのえらく不機嫌そうな窪塚の声といい、加納のこの怯えようといい、どうやら窪塚の機嫌は頗る悪いらしい。
そんな窪塚の問い掛けにしどろもどろになりつつも声を放った加納から縋るような視線が寄こされ、
「……な、仲良くって。べっ、別にッ、世間話してただけだよね? 高梨」
助けを求めるように話を振られ、ハッとした私の放った声も、情けないことだが、加納に引き摺られ大差ないものになってしまった。
「ーーへ!? あっ、あぁ、うん。そうそう、ただの世間話だよね?」
「へぇ、世間話ねぇ。ふうん」
そんな私たちの返答に対して、やっぱり虫の居所が悪いらしい窪塚の顔を見ることは叶わないが、その声のニュアンスからして、半信半疑どころか、端っから疑ってかかっているようにしか聞こえない。
ただ仕事で疲れているだけなのか、何があったのかは知らないが、いいとばっちりだ。