エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
「うん、確かに。そうだね」
「……なんだよ、俺が在宅医療に興味持っちゃいけないのか?」
「いやいや、まさか。じゃあ二人とも参加ってことで。それじゃあ、お疲れ」
「うん、お疲れ」
「……お疲れ」
突然の窪塚の登場には驚いたけれど、思いがけず日頃の憂さ晴らしもできたし。
普段のポーカーフェイスはどこに置き忘れてきたのかと思うほどに、すっかり不貞腐れてしまっている小さな子供みたいな、レアな窪塚の姿も拝めたことだし。
加納を見送る頃には、私の気分は爽快だった。
そこへ、依然、私の肩を背後から抱き寄せたままでいる窪塚がおもむろに私の肩に項垂れるようにして顔を埋めてきて。
「はぁ~」
それはそれは長い長い溜息が垂れ流されたその直後。
「……お前、表向きには俺の女なんだからさぁ、他の男の前でヘラヘラしてんじゃなねーよ」
粗野な口調とは裏腹に、なにやら声を振り絞るようにして、苦しげに放たれた窪塚の低い声音が切ない音色を奏でた。
その振動が、いつしか私の身体を背後からスッポリと包み込むようにして腕に閉じ込めてしまっている窪塚の身体からも伝わってきて。
どうやら窪塚が心底憤っていることが窺えて、途端に、胸が締め付けられるような、そんな妙な感覚に襲われた。