エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 ――彩ってばいつの間に。

 窪塚から聞かされた事実に驚くと同時に、彩との会話が脳裏に蘇ってきて。

 あっ、そういえば、『記念に一枚だけ撮らせて』って言ってたけど、あれは窪塚に送るためだったんだ。

 きっと、彩は彩なりに、カレカノになって一緒に帰らないどころか、未だデートもしてない様子の私たちのことを案じてのことだったのだろう。

 ようやく得心せざるを得ない状況となってしまった私の元へ、畳み掛けるようにして、もっともらしいことを言い渡してきた窪塚の声が届いて。

「それに、たまにはデートの一つでもやっとかねーと疑われても困るし。彼女であるお前には偽装工作に付き合ってもらわねーと困るんだわ」

「……べ、別に、そんなのフリだけでいーでしょうがッ!」

「生真面目で堅物、オマケに嘘をつけないお前が、親友の本城相手に嘘なんてつけるわけねーだろ、バーカ。ほら、行くぞ」

「あっ、ちょっと。待ちなさいよッ!」

 いつもの如く、何かを返したところで聞く耳なんて持ち合わせてなどいない窪塚によって、強引にしかも手つなぎで連行される羽目になってしまっている。
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