エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 駐車場で窪塚の所有する国産スポーツセダンの助手席に乗せられ揺られること十数分、行き着いた有料駐車場から徒歩で二、三分のところに目的地である店はあった。

 近代的な外観からはかけ離れたアンティーク調の家具で統一されている、落ち着いた雰囲気の趣のあるカフェバーへと連れてこられている。

 なんでも窪塚が大学生の頃にバイトしていたらしく、この店の隠れ家のような落ち着いた雰囲気が好きで、今もこうして時折足を運んでいるのだとか。

 店内に足を一歩踏み入れると、内装はシックなベージュで統一されていて、天井が高く奥行きもあるせいか、開放感があり、ゆったりとしたスペースに、カウンター席と、二人がけのソファとガラス張りのテーブルがセットで十席ほど設えられている。

 案内された窓際のソファ席に腰を落ち着けると、ふかふかとしていて座り心地も申し分なく、我が家で寛いでいるような錯覚に陥りそうになる。

 しっとりと落ち着いた洋楽が流れる店内を見渡せば、カップルは勿論、女性の二人連れやお一人様でディナーを楽しんでいる客たちで賑わっていた。

 ぐるりと店内を眺めているとそこへ、お客から注文を受けていた黒いシャツとお揃いの黒いギャルソン姿の四十代と思しき細身の男性がニヤニヤと意味ありげな笑みを浮かべつつ私たちの元までやってきて。

「おう、いらっしゃい。圭が女の子連れてくるなんて初めてじゃないか?」

「余計なことはいいから、さっさともてなしてよ。腹減って死にそうだからさぁ」

 開口一番に向けられた言葉に、窪塚は悪態をついて心底鬱陶しそうに端正な顔を歪ませている。

 その様子から二人の親密さが窺える。
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