エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 それからほどなくして、かずさんに見送られつつ私たちは店を後にした。

 結局、車で来ていた窪塚に気兼ねして飲むのを躊躇っていた私のことを気遣って飲酒したのだろう窪塚とともに徒歩で大通りまでの道のりを歩くこととなってしまっている。

 そういえば、私服姿の窪塚と一緒にこうして歩くのなんて、あの夜以来だ。

 といっても、あの夜の記憶は曖昧で、大学生の頃の記憶のほうが鮮明に蘇ってくる。

 いつもの見慣れたロイヤルブルーのスクラブとは違い、白いTシャツに爽やかな淡いブルーのシャツを羽織っただけの窪塚の広い背中を眺めながら。

 ーーこんなに広かったっけ。

 そう思えるくらいには、お互い大人になったんだなぁ。

 なんて感慨に耽っていたら、これまで週に一度のペースで、仮眠室で幾度となく重ねてきた窪塚との情事のあれこれが不意に脳裏に浮かんできて、顔どころか、全身がカッと瞬く間に熱くなってきた。

 一刻も早くその熱を冷まそうと忙しなく掌でパタパタ扇いでいるところに、急にこちらへ振り返ってきた窪塚に声をかけられ。

「これからどうする? どこかで飲み直してもいいし、他に行きたいところがあるなら付き合うし」

 まさかこのタイミングで声をかけられるとは思わなくて、吃驚して心臓がドクンと大きく波打ったけれど、この動揺を気取られたくはなくて必死に取り繕うのに精一杯だったのだ。

「……へ!? あっ、ううん。別に飲み直さなくてもいいし、特に行きたいとこもないから、タクシー拾えたらそのまま帰ーーあっ、わぁッ!?」

 そのせいか何もないところで躓きそうになってしまい……。
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