エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
ーーうん、そうだ。そうに違いない。
必死にそう思い込もうとしている私の手は、何故かさっきまで私の顎を捉えていたはずの窪塚の大きな掌により包み込まれていて。
ーーえ!? なに?
状況が掴めずキョトンと首を傾げることしかできないでいると。
「せっかくのデートなんだし、帰るのはもうちょっと酔いが醒めてからでもいいだろ? たまにはガス抜きしないとストレスたまんぞ」
「せっかくのデートって、食事が済んだんだからもういいでーー」
「いいからちょっと付き合えよ。どうせ帰ったって寝るだけだろ? ほら、行くぞ」
「あっ、ちょっと待ってよッ!」
「なんなら、おぶってやろうか?」
「バッカじゃないの、一人で歩けるしッ!」
「ハハッ、急に動くと酔いがまわんぞ」
「風にあたったからもう平気だし」
「はいはい、わかったって。おい、待てよ。ほら」
「なんで手なんかつないでんのよ」
「迷子にならないため?」
「ハッ!? 子供じゃないし。それになんで疑問形なのよ」
「バカ、真に受けんな。一応デートだからに決まってんだろ。ほら、行くぞ」
「あっ、もうー!」
毎度の如く強引な窪塚によりグイグイ手を引かれて、中庭のような公園が併設されている近くの商業施設へと足を踏み入れて、エスカレーターで屋上の展望台へと向かうことになった。